歯周病でグラグラしている歯の固定

歯周病になると歯を支えている骨が吸収します。
臨床的には、"歯がグラグラ"としてきます。
以下写真の上は、健康な方のレントゲン写真で、下の写真は、重度歯周病の方のレントゲン写真です。
歯周病のレントゲン写真は、骨の吸収があるのが分かるかと思います。

健康な方の写真 重度歯周病の方の写真

それでは、歯周病の治療を行うとこの"グラグラ"は治るのでしょうか?
また、吸収した骨は、回復するのでしょうか?
答えとしては、基本的には歯のグラグラは治りません。
また、吸収した骨も基本的には回復しません。

基本的にはというのは、歯がグラグラする原因は、骨の吸収だけではなく、噛み合わせ等が原因になっている場合もあるからです。
こうした場合には、噛み合わせを治すことにより、グラグラがなくなることもあります。
また、吸収した骨も感染物質を取り除くルートプレーニングやフラップ手術を行うことにより、回復(再生)することもあります。

さらに、GTR法やエムドゲイン法の骨再生治療を行えば、骨の再生も可能です。
ただし、GTR法やエムドゲイン法には適応症があります。
魔法の治療法ではありませんので、どのような状態でも骨が再生するということではありません。

さて、話は戻ります。
骨吸収によりグラグラした歯をそのままにしておくと、歯には負担がかかってしまいます。
このようなグラグラしている状態を『咬合性外傷』と言います。
簡単にお話すると『打撲』です。
歯周ポケットが改善しても『咬合性外傷』改善しなければ歯はダメになってしまいます。

そこで、グラグラしている歯とそうでない歯を連結することが有効です。
ただし、グラグラしている歯同士を固定しても効果はありません。

問題となるのは、全体的にグラグラしていた場合です。
この場合には、全体的に固定することが有効です。
前歯のみ、奥歯のみだけで固定すると固定した部分ごとグラグラと動いてしまいます。
固定の具体的な方法としては、前歯部と奥歯を連結することです。
こうした治療法を専門用語で"クロスアーチスプリント法"といいます。
以下は、歯周病で固定した症例になります。

初診時

初診時写真 初診時レントゲン

治療終了後

治療終了後写真 治療終了後レントゲン