歯周病治療は痛いのか?

はじめに

歯科治療というと『痛いから嫌!』という方も多くいらっしゃると思います。歯周病治療はどうなのでしょうか?
痛いのでしょうか?

歯周病の検査での疼痛は?

歯周病の治療の前には、必ず歯周病がどの程度進行しているかを調べるために、歯周ポケット検査という検査を行います。
(歯周ポケット検査については下記参考リンクをご覧下さい。) 歯と歯肉の間には、元々わずかな隙間(すきま)が存在します。
この隙間のことを『歯周ポケット』と言います。
健康な方では、この『歯周ポケット』の深さは約1~2ミリ程度です。
検査(測定)方法は、『プローブ』と言われる細い器具を 歯周ポケットに入れて計測します。

プローブ 歯周ポケット

この時に時々『痛い!』という方がいらっしゃいます。
20~30人に1人程度、もっと少ないかもしれません。
50人に1人ぐらいかもしれません。

痛みの程度には個人差があります。 例えば、当医院では、1年に1回、健康診断をかねて職員全員で『B型肝炎予防接種』を行います。
本当に小さな針で、体内に入れる薬も非常に少ない量です。
私自身は、この予防接種の痛さをほとんど感じません。
まったく感じないなというと そうではありませんが、ほとんど痛みはありません。
『まあ、注射だからこんなもんだろう』と思っています。
しかし、他のスタッッフの中には、『すごく痛かった!!』という人もいます。
当日 予防接種を行う人は、同じ人です。
しかし、毎年同じような意見を言います。
もちろん本当に痛かったのでしょうが、予防接種をする何日も前から『痛いのかなー、嫌だなー』とずっと言っていますし、予防接種をする際には、ものすごく痛そうに 歯をくいしばり、耐えています。
横で私は、『これでは、本当に痛くなくても、痛みが倍増するだろうな』と思ってみています。
痛みの程度には個人差はありますが、歯周ポケット検査はさほど心配されなくても大丈夫です。

歯周病治療での疼痛は?

歯周病治療の中で最も基本的な治療が『ルートプレーング:SRP』と言われる治療です。
『ルートプレーング:SRP』を簡単に説明すると 歯周ポケット内部に入り込んだ歯石を取り除く治療です。
具体的な治療方法ですが、まず 歯肉に若干の麻酔をします。
ただ 歯石を除去するだけでは麻酔は必要ありませんが、歯周ポケットの深い部分の汚染物質を除去するためには 麻酔をしないと絶対に取れません。

歯周病治療での疼痛は?

治療中は麻酔をしているため、痛みはありませんのでご心配されないで下さい。
もで、ほとんどの方はこの麻酔が嫌ははずです。
次項では、麻酔を痛くなく行うための方法について解説したいと思います。

痛みを極力少なくする麻酔方法

まず、麻酔を行う前は、緊張をしていたりしますから この緊張をとくことと 痛みを感じにくくするために笑気麻酔というものを使用します。
この笑気麻酔は、鼻から笑気というガスを吸うことにより行うものです。
もちろん 気体を鼻から吸うだけですので 痛みはまったくありません。
笑気麻酔を行ってから 5分程度すると頭がボーットしてきます。
そして 痛みを感じることが通常よりもかなり減少します。
この笑気麻酔は、治療が終了 つまり吸うのを中止するとすぐ麻酔効果がなくなります。
このことにより 治療が終了してもすぐ帰宅することができるため安全性の高い麻酔です。
歯科治療が怖いという方には、有効な麻酔方法です。
しかし、笑気麻酔だけでは麻酔効果は得られません。
気分を落ち着かせる効果があるだけです。
※笑気麻酔は、ご希望の方のみに行います。
下の写真は笑気麻酔を使用しているところです。

痛みを極力少なくする麻酔方法

そして、いよいよ麻酔を行います。
麻酔を行う前には必ず表面麻酔を行います。
これは、麻酔液と同様の成分を含んだゼリー状のものを歯肉の表面に塗ることにより歯肉を麻痺させるものです。
歯肉に塗るだけですので 痛みを感じることはまったくありません。
こうした麻酔前の処置をすることにより この後に続く麻酔の痛みを感じさせなくします。
下の写真は、表面麻酔と実際に口腔内に塗っているところです。

痛みを極力少なくする麻酔方法

そして麻酔ですが、最近は電動(自動)麻酔器というものが多くの歯科医院にて使用されています。
この電動麻酔器は、麻酔液が体内に入る 速度 や量をゆっくりと一定にさせることができます。
今まで行ってきた手で行う麻酔より痛みを感じることが少なくなりました。

痛みを極力少なくする麻酔方法

麻酔を含め、できるかぎり痛みが少ないように行いますので、さほどご心配されずに治療を受けて下さい。
歯科治療が嫌だからといって放置することは、歯周病を悪化させるだけです。歯周病が悪化すれば、当然抜歯となってしまいます。
また、歯周病が進行した状態で治療を開始すると治療期間もかかり、治療自体も複雑になります。
できるかぎり、軽度の段階で治療を行うことが より痛が少なく、より簡単に行えるのです。